ネコゴゼの世界観
ロシア人経由で知ったWikipediaもないくらいのマイナー漫画。
掲載誌は月刊ヤングキングアワーズGHらしいけど、少年画報社のヤングキング系ってどういう層が読むのかぼくはイマイチ分かってない。
アオハル系みたいに「ほらマイナーだよ、こう言うのオタクが好きなんでしょ?」みたいな雰囲気ではなくて”キリン”とか”一騎当千”とか”ドリフターズ”とか”それ町”だとか「単行本は知ってるけどどの雑誌に載ってるの??」みたいな漫画が多い気がする。
ちなみにぼくは同じ作者の朝霧の巫女は未読です。
ロシア人としてはこれをどうやって知ったんだろう。”「ソ連漫画が日本で始まったぞ!」みたいな話題”があったのかそれとも”猫耳を探してて偶然見つけたのか”、それとも”宇河弘樹のファン”なのか。
ともかくそんなネコゴゼにハマってしまった上に連休初日で暇だからネコゴゼについて書こうと思います。
世界観
舞台
二次大戦後195X年代、ソ連支配下に置かれた日本。
千代田区のニコライ堂や銀座の服部時計店が出てくるので恐らく東京。
服装
50年代って設定にも関わらず基本的に日本人は全員和装。
社会主義・合理主義社会に征服されながらも極東の蛮族ごときが衣類を身に付けて許されるんだろうか。和服の生地なんかそれこそ接収されて綿のシャツが供給されそうなものだが…
"人"
擬人化された猫の社会で基本的に登場人物はソ連人でも日本人でも年寄りでも男でも猫耳&尻尾付き。ただそれでも日本”人”。
主人公の夜梅&鶯も当然猫。
本物の”人間”は今の所でてないのかな。
派閥
桜唇のラブリースパイ手帳
だいたいこれの通りよね。
ソ連スメルシ
桜唇の所属する所。
敵ってことで悪の組織かといえばそうでもなく国家組織なので、不当なヤクザを(暴力的に)追い払ったりヤクザに雇われた風俗嬢を吉原に斡旋したり一概に悪とも言えない組織。
悪いこともしてるけどね。
善知なる盗賊
日本は反宗教主義で弾圧されたロシア正教会の拠点でもあるっぽい。
当然、スメルシの敵。機密=特殊能力を使う。
長岡瞽女
本来の所、江戸時代~昭和初期までに活動した盲目の三味線芸人組織。
長岡瞽女は表向きは旅芸人、裏社会では西側の諜報機関って事になってるのかな。
夜梅が所属してたらしいところ。
立派な社会主義教育が施されているのか例えマフィアでもヤクザでも孤児でも political correctnessに配慮して瞽女の事をメ○ラとは絶対に言わない。
不自然な所
架空の漫画にそんなの野暮でしょ。ッて感じだけど一応。
双頭の鷲
ロシア人に言われたのは銀座の服部時計店にあるツァーリの象徴"双頭の鷲"
社会主義にあって皇帝を敬うはずもなく意味がわからない。
和服
うえでも書いたけど日本人の洋服が殆どといっていいほどない。孤児の溝渠(ロフ)くんでさえも和服。
競争主義になく文化が後退するにしても飛行機が空を飛ぶ二次大戦後にソ連化して合理主義に呑まれた世界で和服を着るようになるとも思えない。
日本人だよって記号なのかもしれないけど。
建築物
遠景によく現れるクーブがあしらわれた建造物。
20世紀といえばアヴァンギャルドが一世を風靡した時代であるにもかかわらずわざわざこれを建てるんだろうか?って疑問。
まあこれもソビエトだよ~って記号なんかな。
結局
ここまで書くとシビアな世界観臭いけどかなりの頻度でギャグ描写が出てくる。
ヤクザの取り巻きの皮を剥いで惨殺し、棘のついたナックルでぶん殴って共産主義化せよ!という凶暴なソ連の執行人がどんなヤツらかと思ったらいきなり"これ”なほど。
ついでに、瞽女が主人公なだけあって歌が沢山出てくるんだけど、こういう実在する歌の場合、出典とJASRACの表記が枠外にきちんとある。元ネタがあってソースを辿れるのでこういう時はきちんと機能してていい。(幾ら金が掛かってるのかは知らないが。)
ギャグに関しては緩急があって面白いけど、10話だけで
真剣な顔でロフが飛び込んでくる(真面目な描写)
↓
箱根に行かないと死ぬ!(ギャグ描写)
↓
死んだ真似はもうやめて…と鶯が泣き出す(真面目)
↓
温泉で拗ねる鶯(ギャグ)
↓
なだめる夜梅とまたしても泣く鶯(真面目)
この調子で今真面目な話をしてるのかギャグなのかさっぱりわからなくなる。
お風呂関連で夜梅が何度も何度も風呂に入りたがってその度に可愛いギャグ顔になってくれるからそれはそれでいいんだけどもね。
大体、2巻まででは情報も少ないんで、続きが楽しみだけど3巻は半年以上先だろうな。早く読みたい…