700円払って台座を見た話
如何にも近代美術らしい、何も載ってない台座をありがたがってみる(そもそもなんなんだ。ていうかそもそもってなんなんだ。」って感じの企画展。
立体制作物を載せる台座も立体制作物でデザインされた作品だっていう当たり前のような事を再提起されるような展覧会だったけど、何も載ってない粘土や樹脂、木製な台座や何も入ってない巨大なガラスケースがただそこに置かれてる状況は、色んな意味で”シュール”だった。
壁一面のショーケース(作品ではない)も含めて広い県立近美の展示室Cをまるまる使った台座群を引き一望できることとその真中に配置されたクリーンルームジャパン(高さ2mのガラスケース)の存在感は圧倒的ですごく印象に残った。
いつもあるショーケースにコラボをしてる遠山記念館のからくりや人形細工などの作品を置いてるおかげでこの美術館を知らないとショーケースごと展示品なのかどうかもわからない展示風景なので、隅になにかある!と思ってみたらただの消化器置きだったり近代美術にありがちな「これも作品?」っていうベタなやつを本当にやるところだった。(まあ展示室の景観を崩さないユニバーサルデザインとしてはそれもなんらかの制作物ではあるのだけど)
ちなみに、解説に”作り付けのショーケースに展示されているのは~”とわざわざ書いてあったので紛らわしさは感じてるっぽい。
中学生たち
夏休み時期なので中学生以下無料でそれなりに中学生が宿題かなにかのバインダーとわら半紙のレポートを持った中学生がいたんだけど、明らかにみるペースが見抜けるようになりたいノダちゃん並であのレポートに一体何が書かれるんだろう…と気になってしょうがなかった。
今でこそ、配色材質デザインコンセプト思想まで色んな所に自分が納得いくまで同じものを眺めていられるけど、中学生だった時にこれを見ていたところでこのブログに書いてるような何かを感じたとは思えないし夏休みの展示としてはレベル高すぎに感じたけど、近代美術の展示に夏休みの小中学生向けがあるのかというと微妙かも…
常設展
企画展と一緒に常設展のチケットもついてたので見てきた。
モネの積み藁を落ち着いてみられる場所なんてここぐらいしかないので来た時は必ずモネを見つめてるだけ(ドラクロワやルノワールもみる)で終わってしまうんだけど、今回は方寸が目に入ったのでこっちをずっと眺めていた。
方寸
方寸は明治の画家が集まって創った正規な意味での”同人誌”。
明治ということで本物の活字と版画絵で作られた活版印刷。それだけでさえ見てみたかったけどここでみられるとは思いもしなかった。
試みとして全編ローマ字綴りで発行された物もあったんだけど、活字印刷をする時の日本語の文字数の手間みたいな都合もあったんじゃないかなあとかこの時代のステープラー(ホチキス)があったんだ。と思ったり。
一つだけ不思議だったのは版画で刷られたもののはずなのに筆のタッチがあったこと。オリジナルにもいちいち塗られていたのかそれともそこまで版画で再現したのか。
コミュ力がある人はそういうことを学芸員に聞いたりするんだろうけど、ぼくにはそこまでのコミュ力はありませんでした。
両方あわせて2時間くらい滞在したけど結構楽しかったです。次の企画展も行きたい。